
「チャッピー」は、ChatGPT(チャットジーピーティー)の愛称です。
友だちとの会話にも当たり前に出てくる言葉になっていて、もう毎日のように使っている人も多いと思います。この記事では、チャッピーの始め方と恋愛相談での使い方を手短に紹介してから、いちばん伝えたい勉強での使い方をじっくり書いていきます。
先に、書いている私の立場をはっきりさせておきます。
勉強に生成AIを使うことに、私は大賛成です。何度同じことを聞いても面倒がらずに付き合ってくれる相手が、夜中でもスマホの中にいるわけですから、勉強する人にとってこれほど心強い道具はなかなかありません。

生成AIって心理的安全性が担保されてるって事もメリットだと思います。
ただ、その使い方には大きな問題があると思っています。よく見かけるのは、分からない問題を写真で送って「解説して」と頼む使い方です。返ってくる説明はきれいで分かりやすいのですが、それを読んでも、自分の力にはほとんどなりません。
おすすめしたいのは、チャッピーに答えを出させるのではなく、自分が思い出す練習の相手をしてもらう使い方です。医師の安川康介さんの本で知った勉強法を、チャッピーと一緒にやる形にまとめました。英語については、認知科学者の今井むつみさんの本を参考にお伝えしますね。
チャッピーってなに?始め方と、先に知っておく約束
チャッピーは、アメリカのOpenAIという会社が作った対話型のAI「ChatGPT」を、呼びやすく縮めた愛称です。SNSでは2025年3月ごろからこの呼び方が見られるようになり、特に若い世代に親しまれてきました。その年の新語・流行語大賞では、ノミネートされた30語のひとつにも入っています。チャッピーとChatGPTは呼び方が違うだけで、中身は同じものです。
使い始めるのに、お金はかかりません。
スマホならApp StoreかGoogle Playで公式の「ChatGPT」で検索。パソコンならブラウザでchatgpt.comを開いて、アカウントを作れば使うことが出来ます。ひとつ気をつけたいのは、App Storeには、名前にチャッピーと入れた、OpenAIとは別の会社のアプリもあることです。入れる前に、提供元(デベロッパ)がOpenAIになっているかを確かめてください。

チャッピーを使う際の注意事項を書いておきます。
- 個人情報の取扱い
- ハルシネーションの確認
1つめは、自分の本名や住所、学校名、電話番号のような、知られると困る情報を打ち込まないことです。
2つめは、チャッピーの答えには間違いが混じることがある、ということです。
自信のある言い方のまま間違えることもあるので、テストに関わることは、最後は教科書や辞書で確かめるくせをつけておくと安心です。
恋愛相談は、友だちに話すみたいに
チャッピーに恋愛相談をしたことがある人は、じつは少なくありません。
女子高生ラボ(株式会社with t)が2025年9月に全国の女子高生100人に行った調査では、「定期的にしている」が42%、「1〜2回程度ならある」が17%で、あわせて約6割が恋愛相談をした経験があると答えています。友だちには話しにくいことも、チャッピーになら打ち明けやすいのだと思います。
相談のしかたに、難しいコツはありません。友だちに話すときと同じように、いまの状況をそのまま書けば大丈夫です。ひとつだけ意識するとよいのは、何があったかに加えて、自分はどうしたいのかまで書くことです。そこまで書いておくと、チャッピーの返事がぐっと具体的になります。たとえば、こんなふうに送ります。
同じクラスの気になる人に、昨日の夜「今日の数学むずかしかったね」ってLINEしたら、既読のまま返事がきません。もう一回送るか迷っています。しつこいと思われたくないけど、話すきっかけは作りたいです。どうしたらいいと思う?

返事を読んで、送る文面まで一緒に考えてほしければ「送る文を3パターン出して」などと頼む方法も効果的です。
そこから「もう少し軽い感じで」「絵文字はなしで」と注文をつけていけば、だんだん自分の言葉に近い文になっていきます。最後は、言い回しを少し自分らしく直してから送るほうが、相手にも自然に届きます。

気をつけたいことも2つあります。
- LINEのスクショをそのまま送らない
- チャッピーはあなたから聞いた話だけをもとに答えている
1つめは、相手の名前やアイコンまで写ってしまうので、やりとりの中身だけを自分で書き写してください。
2つめは、相手の本当の気持ちまでは分からないので、「相手の立場だったら、どう感じると思う?」と聞き返してみると、自分だけでは見えなかった見方が出てきます。
それでも、ひとりで抱えきれないほどつらいときは、チャッピーだけで済ませないでください。
こんな事件もありました。
読売巨人軍の阿部慎之助前監督が長女への暴行容疑で現行犯逮捕され辞任した問題では、長女がChatGPTに相談し、その回答に従って児童相談所に通報したことが大きな話題となりました。
勉強の前に読んでほしい2冊と、1本の動画

ここからが本題の勉強での使い方です。
チャッピーの使い方に入る前に、土台になる本を2冊と、動画を1本紹介させてください。やり方だけを真似するより、なぜそのやり方だと記憶に残るのかを知ってからのほうが、続けやすいと思うからです。

1冊目は、医師の安川康介さんが書いた『科学的根拠に基づく最高の勉強法』(KADOKAWA、2024年)です。

この本では、研究で効果が確かめられている勉強法と、そうでない勉強法が分けて紹介されています。教科書を何度も読み返す、大事なところにマーカーを引く、といったおなじみのやり方は、じつは効果が高くないほうに入っています。代わりに勧められているのが、学んだことを自力で思い出すアクティブリコールや、間を空けて繰り返す分散学習です。
私がこの本を知ったのは、2026年の3月ごろでした。
YouTubeで勉強法の動画を見ていて本が出ていると知り、まずは本を聴けるAudible(オーディブル)で聴いてみたんです。これまでにオーディブルで聴いた時間は800時間を超えていますが、5回くり返して聴いた本は、後にも先にもこの1冊だけです。
あとから紙の本も買いました。
この本が私の中で別格なのには、わけがあります。私は、聴き終えた本の中身を人に説明でき無いことに悩んでいました。タイトルと「良かった」という感想は残っているのに、何の話だったかを自分に問うと、言葉が続かないというか説明することが難しかったのです。この本を聴いて、その原因の根本が理解できたように思いました。
原因は覚える力ではなく、思い出す練習をまったくしていなかったことにあると気づきました。聴くだけで終わっていて、頭から取り出す時間がどこにもなかったわけです。
実は勉強も全く同じで、みんなインプットをするけれどもアウトプットが圧倒的に少ない。そして教科書や参考書などを使って問題を解くのではなく、白紙の裏紙に書き出すということをぜひやってみて欲しいです。

2冊目は、今井むつみさんの『アブダクション英語学習法 認知科学者がAI時代に伝えたい独学の技法』(日経BP、2026年)です。
この本は英語そのものを学ぶ本ではなく、英語の学び方を学ぶ本です。
副題のとおり、生成AIが身近にある時代の学び方を扱っているので、チャッピーで英語を勉強するならおすすめしたい一冊です。じつは私もまだ読んでいる途中なので、この記事の後半にある英語の章で、出版社のサイトで公開されている「はじめに」をもとに紹介します。
動画は、安川さん本人がYouTubeで勉強法を解説しているものです。本を読む時間がとれない人は、YOUTUBEを見てみるだけでも良いと思います。
チャッピーを「思い出す相手」にする(アクティブリコール)
安川さんの本の中心にあるのが、アクティブリコールです。
日本語にすると「思い出す練習」で、学んだことを頭の中から自力で引っぱり出す作業のことを言います。教科書を読み返すのが頭に入れる作業だとすれば、こちらは頭から取り出す作業です。練習問題を解く、クイズに答える、暗記カードをめくる、誰かに説明する。どれも答えを見ずに自分の頭から取り出しているという点で、同じ分類となります。
いちばんやってみて欲しいことが、白紙に書き出すやり方です。
教科書を閉じて、今日習ったことを白い紙に思い出せるだけ書いてみてください。書き終わったら教科書を開いて、抜けていたところと間違えていたところを確かめます。私はこれを毎日、朝と夜に5分ずつやっていて、朝は前の日に読んだ分、夜はその日に読んだ分を書き出しています。
初めてやったときは、書けるには書けたものの、思い出すのにものすごく頭を使った感覚がありました。安川さんは、この思い出すときのしんどさこそが記憶を強くすると説明しています。しんどいと感じたら、それは記憶が強くなっている合図だと思ってください。
この白紙のやり方を、チャッピー相手にやってみることもありだと思います。紙に書く代わりに、チャッピーに向かってVoiceモードで説明します。チャッピーには生徒の役をしてもらい、自分が先生役になってチャッピーに説明します。
たとえば日本史なら、こんな感じです。
今日、日本史で鎌倉幕府ができるまでを習いました。これから教科書を見ないで説明します。あなたは、初めてこの話を聞く生徒になってください。私が説明し終わるまで口をはさまず、終わったら、分かりにくかったところを質問してください。
ここでもコツは自分の頭の中にある内容を言語化することです。
覚えている単語やキーワードを記憶から引っ張り出すことで言葉がつながっていきます。例えば、期間は1185年頃または1192年頃から1333年まで(約150年間)とか、創設者は源頼朝(初代将軍)などなど、とにかく習ったことを全て口に出してチャッピーに伝えていきましょう。
あくまで自分が主となりチャッピーは従であることが大事です。
「説明して」とはできるだけ頼まない。分からないところは壁打ちで
勉強でチャッピーに頼むことのうち、いちばん多いのは「この問題の解き方を説明して」だと思います。
冒頭で書いたとおり、私はこの使い方をあまりおすすめしません。チャッピーの解説は分かりやすく、たいていは正確です。それでも勧めないのは、解説の出来ではなく、それを読む側に起きることが問題だからです。
なぜかというと、自分で考えて、悩んで、間違える時間にこそ意味があるからです。問題を前にしてしばらく考え、式を立ててみて、答えが合わずにもう一度考え直す。この遠回りのあいだに、自分がどこでつまずくのか、何が足りなかったのかが、少しずつはっきりしていきます。解説を先に読むとこの時間がまるごと飛ばされるので、分かったつもりにはなれても、テストで白紙の問題を前にしたときに書き出せることが何もない、みたいなことになりかねません。
自分でもAIを使っていて思うのですが、勉強は楽をすると身につきません。
自分で悩む時間は遠回りに見えて、結局はいちばんの近道です。悩んだ分は、テストの日に自分の頭から取り出せる力になって、必ず返ってきます。
とはいえ、どれだけ考えても分からない問題は出てきます。そういうときは、チャッピーと壁打ちをしましょう。大事なことは、「分からないから説明して」ではなく、「自分はここまで考えて、分かっているけどこの部分の理解が出来ていない」ことを自身で気付けることです。
例えばこんな使い方。
この問題の(2)で止まっています。
(問題の写真を送る)
自分は、辺ABの長さをxとおいて三平方の定理で式を立てましたが、答えが合いません。正しい答えや解き方は言わないでください。私の考え方のどこがずれているかを、質問で気づかせてください。
こう頼むと、チャッピーは答えの代わりに、考え直すための質問を返してくれます。
その質問に答えているうちに、自分で間違いに気づけることも多いはずです。それでも手が出なければ「ヒントを1つだけ」と頼み、まだ無理なら「もう1つ」と、少しずつ出してもらいます。最後に解き方を見ることになっても、そこで終わりにはせず、次の日に解き方を見ないで白紙から解き直してみてくださいね。
壁打ちをするなら、学習モードも試してみてください。
OpenAIが2025年7月に追加した機能で、公式の紹介では、すぐに答えを示すのではなく、ヒントや問いかけを組み合わせて考えを導くように作られています。公式の案内によると、チャットの設定から「勉強する」を選んで質問を始めるだけで使えます。発表の時点で無料版でも使えると書かれているので、お金をかけずに試せます。毎回「答えは言わないで」と書き添えなくても、最初から壁打ち向きの受け答えをしてくれるのが便利なところです。
1週間前に学んだことを、チャッピーに確かめてもらう
思い出す練習には、もうひとつ組み合わせたいことがあります。
間を空けて繰り返すことです。安川さんの本では、分散学習や間隔反復と呼ばれています。同じ時間だけ勉強するなら、一度にまとめてやるより、数日から数週間の間を空けて何回かに分けたほうが、長く覚えていられるという考え方です。
人は、覚えたことを時間とともに忘れていきます。
エビングハウスの忘却曲線として知られている話で、覚えた直後ほど急に忘れ、そのあとはゆっくり忘れていきます。忘れかけたころにもう一度思い出すと、そのたびに記憶が長持ちするようになります。テスト前日の一夜漬けで覚えたことが翌週にはほとんど残っていないのは、この逆をやっているからです。
エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが発見した、時間経過と記憶(再学習にかかる時間の節約率)の関係を示す法則です。人間は時間が経つと覚えたことを忘れてしまいますが、早い段階で復習すると、再び覚えるのにかかる時間や労力を大きく減らすことができます。
思い出す練習と、間を空けて繰り返すこと。
この2つを組み合わせたやり方は、連続的再学習と呼ばれています。まず、学んだその日に、答えを見ないで思い出せるようになるまで繰り返します。次に2〜3日空けてもう一度思い出し、学んだ日から1週間ほどたったら、さらにもう一度思い出すという流れです。途中で思い出せなかったものは、その場で思い出せるまでやり直します。
やり方自体は単純ですが、続けるのが大変です。いつ何を学んだかを覚えておいて、決まった日に思い出すことを、自分ひとりで管理しようとすると、たいてい途中で分からなくなります。そこで、チャッピーに記録係と出題係をまとめて引き受けてもらいます。仕組みは3つの手順でできています。
1つめに、教科ごとに記録用のチャットを1つ作ります。「日本史の復習」のように名前をつけておけば、あとで探すときに迷いません。2つめに、勉強した日に、そのチャットへ日付と学んだ範囲を書き込みましょう。白紙に書き出した紙の写真も一緒に送っておくと、あとで出題の材料にしてもらえます。
9月28日。日本史で、鎌倉幕府の成立(教科書80〜85ページ)を学びました。
一緒に白紙に書き出した写真を送ります。
3つめに、2〜3日後と1週間後に同じチャットを開いて、復習の問題を出してもらいます。チャットには学んだ日と範囲が残っているので、日付を伝えるだけで、どの範囲から出せばいいかをチャッピーが拾ってくれます。
頼み方は、こんな形です。
今日は10月5日です。1週間前に学んだことを再学習したいです。私が理解しているかを確かめる問題を5問、1問ずつ出してください。答えは私が答えてから見せてください。
間違えた問題は、その場で思い出せるまで出し直してもらいます。最後に「今日間違えた問題を覚えておいて。次に開いたとき、そこから出して」と書いておけば、次の回はそこから始められます。やりとりが長くなって、チャッピーが前の範囲をうまく拾えないときは、学んだ日と範囲をもう一度書いてから頼めば大丈夫です。復習の日を忘れないように、スマホのカレンダーに予定として入れておきましょう。チャッピーを開くきっかけさえ作っておけば、あとはチャッピーが問題を出してくれます。
| 日にち | やること |
|---|---|
| 10月20日(学んだ日) | 白紙に書き出して、チャッピーで答え合わせ。思い出せるまで繰り返す |
| 10月22日(2日後) | 記録用のチャットで「2日前の範囲から5問」 |
| 10月27日(1週間後) | 「1週間前の範囲から5問」。間違えた問題は思い出せるまで |
| テスト前の週 | 前の単元と今の単元を混ぜて出題してもらう |
表のいちばん下の「混ぜて出題」にも、ちゃんと理由があります。
安川さんの本で紹介されているインターリービングという方法で、似ているけれど違う種類の問題を、交互に混ぜて練習するやり方です。問題集は単元ごとに同じ解き方の問題が並んでいるので、解いているうちに「この単元だからこの解き方」と決め打ちできてしまいます。ところがテストでは、どの解き方を使うかを自分で選ぶところから始まります。混ぜて出してもらうことで、その選ぶ練習ができるわけです。
頼むときは、どの単元の問題かを伏せてもらうのがポイントです。単元の名前が見えていると、それだけで解き方の見当がついてしまうからです。
1週間前に学んだ2次関数と、今日学んだ三角比の問題を混ぜて、5問出してください。それぞれがどちらの単元の問題かは書かないでください。答えは私が答えてから見せてください。
英語は、今井むつみさんの本を手がかりに

英語の勉強には、2冊目に挙げた今井むつみさんの『アブダクション英語学習法』の考え方を取り入れたいと思っています。ここで紹介するチャッピーへの頼み方は、私が考えたもので、本に書かれているやり方そのものではありません。
まず、一度は思ったことがあるかもしれない疑問から始めます。
「チャッピーが訳してくれるのに、英語を勉強する意味ってある?」というものです。
今井さんは、この疑問に計算機のたとえで答えています。計算機があっても計算の練習がいらなくならないのと同じで、翻訳してくれるAIがあっても英語は学んだほうがいい、という答えです。英語を道具として使うためだけでなく、日本語だけでは見えない世界の見方が手に入ることにも価値がある、と書かれています。
では、英語はなぜこんなに身につきにくいのでしょうか。
今井さんは、人の記憶はもろく、自分でも気づかないうちに持っている思い込みのような知識(本の言葉では「スキーマ」)が邪魔をして、間違ったまま覚えてしまうことがよくあると説明しています。例として挙げられているのが図書館の話で、絵本の『100万回生きたねこ』を「100万回死んだねこ」と覚え違えたまま探しに来る人がいるそうです。日本語ですらこうなのだから、慣れない英語を正確に覚えるのは、大人にとってもほぼ不可能に近いというわけです。
しかも、「happy=うれしい」のような1対1の暗記は、自分の経験と結びつかない点の知識にとどまるので、忘れやすいそうです。英語をシャワーのように浴びる勉強法についても、日本語と英語のスキーマの違いを知らないまま浴び続けても、その違いには気づけないと指摘されています。語彙が足りないうちは、知らない単語のところで頭の働きが止まってしまい、ほとんど残らないとも書かれています。単語帳で意味を覚えたはずなのに英作文で使えないのは、こういうことなのだと思います。
アブダクションという言葉は、耳慣れないと思います。
おおまかには「自分なりに仮説を立て、それを吟味し、検証する」ことだと説明されています。自分で立てた仮説は、たいてい間違っています。だから確かめる必要があり、自分で間違いに気づいて直していくことで、仮説が育っていくという考え方です。
英語の学び方として、ネイティブが実際に書いたり話したりした自然な英文を集め、学びたい単語やフレーズを使った例文を見比べて、意味や使い方を自分で推し量っていく方法が紹介されています。以前はこのやり方に英語で書かれた専門的なデータベースが必要で、英語が得意でない人には難しかったそうです。それが生成AIの登場で変わり、日本語で頼むだけで、自然な英文がいくらでも手に入るようになりました。生成AIを使えば、このやり方を中学生からでも実践できる形に変えられると書かれています。
このやり方のいちばんの良さは、英語と日本語のスキーマの違いに、自分の力で気づけるところ。私がここまで読んでいちばん納得したのも、日本語と英語のスキーマの違いを知るくだりでした。
そこに出てくる例は、どれも「確かに違うなあ」と思わされるものでした。
一つ質問です。手紙をもらうことが嬉しい。この日本語を英文にしてみてください。もしこの英文が作れないならぜひ、アブダクション英語学習法を読んでみてください。
良いことばかりではなく、生成AIについての見逃せない指摘もあります。
生成AIがしているのは、大量のデータからパターンを見つけて予測することで、自分で仮説を立てることはしない、と今井さんは書いています。仮説を立てて確かめるのは、人間の側の仕事というわけです。チャッピーには例文という材料を出してもらい、そこから仮説を立てるのは自分がやる。この記事で書いてきたアクティブリコールや壁打ちと、役割の分け方は同じです。
とはいえ、例文を見比べるといっても、何に目をつければいいのかが分からないですよね。
| 見るところ | 本書で挙げられている例 |
|---|---|
| どんな文の形で使われるか | happyは、Getting a letter is happy. のように「手紙をもらうこと」という出来事を主語にはできない |
| 一緒に使われる単語 | 日本語で犬は「吠える」と言うように、英語でも犬にはbarkを使う |
| よく使われる場面 | publicationを「出版物」の意味で使うのは、ほぼ学術的な場面だけ |
| 意味の広がり | 「罪を許す」ならforgive、「行動を許す」ならallowが合う |
| 似た単語との違い | forgive、excuse、allow、grantは、似ているけれど少しずつ違う |
本の実践編は、hearとlisten、say・talk・speak、lookとsee、thinkとbelieve、considerといった基本の動詞を、AIを相棒にして1つずつ深掘りしていく構成になっています。ここでは、hearとlistenを題材に、チャッピーで同じ形の練習をしてみます。本がどんな答えにたどり着いているかは、ここには書きません。答えを先に知ってしまうと、自分で仮説を立てる練習にならないからです。
まずは、チャッピーに例文を集める係だけを頼みます。
英単語「hear」と「listen」を使った自然な英文を、それぞれ5個ずつ出して。日本語訳と、使い方の説明はまだ書かないでください。
10個の例文がそろったら、上の表の5つの視点で見比べます。
listenのすぐあとには何が来ているか、hearのあとはどうか、どんな場面の文が多いか。気づいたことを、自分の言葉で仮説にしてみてください。たとえば文の形に目をつけて、こんな仮説を立てたとします。
例文を見て、listenのあとには必ずtoが来て、hearのあとには聞くものがそのまま来る、と考えました。この考えは合っていますか?正解は言わずに、私の考えでは説明できない例文があれば、3つ出してください。
この仮説は、いいところまで行っていても、全部は説明できません。
説明できない例文が返ってきたら、どこが違うのかを考えて仮説を直し、もう一度チャッピーにぶつけます。この往復を何回か繰り返すと、hearとlistenの違いが、暗記した訳語ではなく、自分で見つけたルールとして体で覚えることが出来るようになります。
文の形の違いが見えてきたら、次は意味や場面の違いにも仮説を立ててみてください。
仕上げは、自分で英文を書いてみることです。今井さんは、ことばを自分のものにするには実際に使う練習を続けるしかない、と書いたうえで、聞くことより書くことを重く見ています。書いた英文をチャッピーに見せるときも、直した文をもらうのではなく、どこが不自然かだけを教えてもらいます。
そうすれば、どう直すかを考えるのは自分のままです。
hearとlistenを使って、今日あったことを英語で3文書きました。(ここに英文を書く)直した文は見せずに、どこが不自然かだけを教えてください。
いかがでしたか?
思ったより面倒くさいですよね。そんな事やりたくないですよね。
でもだからこそ自分の力になるんですよ。私はチャッピーを使って上手に勉強できることが増えることを望んでいます。
よくある質問
チャッピーは無料でどこまで使えますか?
チャッピーに話した内容は、ほかの人に見られますか?
宿題をチャッピーにやってもらってもいいですか?
チャッピーとジェミニ、どっちを使えばいいですか?
最後に、一番大事なこと…
一番重要なことは習慣にすること。
最初の一歩は、5分だけで十分です。机に向かう気力が残っていない日でも、スマホでチャッピーを開くくらいならできると思います。今日の授業のなかから、いちばん覚えておきたい教科をひとつ選んでください。教科書を閉じて、チャッピーに「今から今日習ったことを説明するから、生徒になって聞いて」と送るところから始めます。
やってみると、思っていたより説明はできません。
でも、出てこなかったところこそ、次に思い出す練習をする内容です。どこが出てこなかったかが分かったら、教科書のそのページを写真で送って答え合わせをし、そのチャットに今日の日付を書き残しておきます。2〜3日後にそのチャットを開けば、次の練習がそのまま始められます。
無料プランの上限に達して、チャッピーがしばらく使えなくなる日もあると思います。そんな日も、練習を止める必要はありません。白紙と教科書があれば、同じ思い出す練習ができるからです。チャッピーは練習を続けやすくしてくれる相手であって、いないと勉強できない先生ではありません。

チャッピーは、答えを写すための道具にもなれば、自分の頭を鍛える相手にもなります。
どちらになるかは、頼み方ひとつで決まります。答えを出させたくなったら、一度だけ「自分はここまで考えた」と打ち込んでから送ってみてください。その一行が、チャッピーを思い出す練習の相手に変えてくれます。
本記事のChatGPTへの依頼文や練習例は、上記資料の考え方を参考に、筆者が作成したものです。
参考文献・参考資料
- 安川康介『科学的根拠に基づく最高の勉強法』KADOKAWA、2024年。
- 今井むつみ『アブダクション英語学習法 認知科学者がAI時代に伝えたい独学の技法』日経BP、2026年。
- 今井むつみ「はじめに:『アブダクション英語学習法 認知科学者がAI時代に伝えたい独学の技法』」日経BOOKプラス、2026年4月3日。
- 米国内科専門医 安川康介の医学チャンネル「最高の勉強法・効率的な覚え方【科学的根拠のある効果的な学習方法について医者が解説】」YouTube。
- 女子高生ラボ(株式会社with t)「AIが親友になる時代到来?女子高生のChatGPT活用術!」PR TIMES、2025年9月30日。


[…] (ここで少し余談ですが…)実はこの記事は、AI(ChatGPT(チャッピー))と壁打ちしながら書いています。 […]